COP25視察3日目についてです。
この日は、いよいよCOP25の最終日で、各国の交渉も大詰めになり、成果文書が採択される予定です。COP25に参加している人たちの仕事もクライマックスであり、会場での抗議活動も盛り上がりが最高潮に達するはずです。
が、しかし、JYPS事務局員の佐井は、COP25の正式会場(Blue Zone)へ入場できるPassを未だに持っておらず、会場の周りをうろつくばかり。
前日の夜に登録の情報を送り、確認のメールをひたすらに待ち続けていました。
昼も過ぎ、現地で知り合った友人と会場近くのカフェにてCOP25の感想などを話し、半分諦めかけていたところへ、国連で働いている友人から連絡が!
システムには名前が登録されているとのこと。
確認のメールが届いていないことから、不安を抱えつつ、会場へ向かうも、予想通り、警備員から入場を拒否されます。
こんなところで挫けるわけにはいかず、何度も説明をしていると、友人がメールが来ないケースもあるとの助け舟を出してくれて、なんとか会場内へ。そして、Information Deskへ向かい、無事にPassを取得することができました。
マドリードへ到着して、すでに2日半が経過しており、COPのイベントはほとんど全て終わっていたものの、勢いだけでマドリード行きを決めて、実行に移したことが報われて安堵するとともに、自分のPassの取得のために尽力してくれた友人と関係者には感謝の思いでいっぱいでした。
さて、ここからは、3日分の仕事を全て数時間で終わらせなければならず、全力で会場を駆け回ることとなりました。
以下、活動を報告します。
1. Japan Pavilionへの訪問
会場へ入り、まずは日本政府のブース見学に向かいました。
日本のブースでは、正面のスクリーンにてアニメを放映して、注意を引きつけていました。留学先でも日本のアニメや漫画はとても人気で、国際的に日本の独自の文化を発信していることは効果的だと感じました。
(Japan Pavilionの正面スクリーン。アニメの動画がエンドレスに流れていました。)
展示ブースでは、日本の企業の技術力をアピールする狙いの下、洋上風力発電の模型や空気中の二酸化炭素を取り込み地下に貯蔵する技術であるCarbon Capture and Storage(CCS)のパネル、水素社会の模型などが展示されていました。
最終日ということもあり、会場は閑散としていましたが、海外の方が何人かブースに訪れて、話を担当者から聞いていました。
私は、CCS技術について説明をお聞きしました。
現在、日本のエネルギー政策において石炭火力発電を使用せざるを得ない状況の中で、少しでも大気中の二酸化炭素を減少させていくべく、北海道の苫小牧にて実証実験を進めているとのことです。
現在、使用されているプラントでは、年間約20万トンの二酸化炭素を回収することが可能だそうで、バイオマス発電と同時に使用することで、発電時に排出される二酸化炭素を全て吸収するだけでなく、大気中の二酸化炭素まで貯蔵することができるので、排出量はマイナスになります。
今後の課題としては、石炭火力発電などの大規模火力発電所でも使用できるよう技術開発を進めていくと同時に、日本の中では十分な地下空間を確保することが困難であるため、他国との間で連携を進めていくことが大切になります。
(展示ブース。写真奥に、CCSに関するポスターと模型が展示してある。)
2. Plenaryでの傍聴
冒頭でも記したように、この日はCOP25の最終日ということもあり、加盟国の環境大臣が参加するこのセッションでは、採択予定文書について、各国の大臣から意見が交わされました。
このセッションは、会場内の席に制限があるため、Observerの参加者については入場者数に制限があり、会場の入り口で長時間待たなければいけませんでした。
ようやく会場に入った頃には、すでにほとんどの国が発言を終えていたことから多くの意見を聞くことができませんでした。
気づいた点としては、まず、各国に等しく意見を表明する機会が与えられており、経済規模や賛成・反対にかかわらず、各国がコメントする機会が平等に与えられていることを確認できました。
また、事前から今回の会議の焦点であるArticle 6について、交渉が難航していると聞いていた通り、各国から様々な意見が聞かれ、結局合意文書の採択には至らず、交渉は翌日以降まで延長されることになりました。
日本の小泉環境大臣は、当該セッションにて一番目に発言しており、議長へのサポート表明とCOPにて合意することの重要性を述べており、こちらは元々発表ノートにはなかった内容を大臣自らが加えて発言した内容であることを、他の日本からの参加者から聞くことができました。
小泉大臣が自らの問題意識に基づいて、積極的に行動を取ったことに対して、ポジティブな評価をしている人が多いという印象であり、個人的にもとても嬉しく思いました。
(会場全体の様子)
(イランの環境大臣の発表の様子。発言の際に、カメラでズームされている)
(Vol.2へ続く)
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