4月23日にUN MGCY FfDフォーカルポイント外池をスピーカーに「Financing for Development (FfD)~開発資金~」の構成と重要性についてウェビナーを行いました。
ウェビナーで使用した資料はこちらからダウンロードできます。
Q. “Financing for Development (開発資金)”とは?
2002年のモンテレイ合意で設立されたUN主導では初の開発全般に資金に関わる議論です。
Q. 開発資金の歴史と近状
開発資金の始まりは、1940年代後半から1990年代まで続いた東西冷戦に遡ります。当時、米国と露国が他国を味方につけるため支給していた資金が現在の「開発資金」の概念のスタートとなりました。
そんな開発資金ですが2008年のリーマンショック後下降傾向にあり、援助アクターと援助モダリティーの多様化と細分化による全体としての一貫性のある援助また民間セクターの貢献がこれまで以上に必要とされています。
開発資金は世界が直面している課題を解決する上で重要な役割を担っており、これまでに幾度も見直し・改良されてきました。
まず初めに国連ミレニアム開発目標(2000~2015)の実施手段としてメキシコ モンテレーで国連初主導の開発資金会議が開催されました。
モンテレイ合意では
①国内資金導入
②過去最適な民間資金を含む資金
③国際貿易
④開発のための国際的な金融・技術協力
⑤債務問題
⑥システミック・イシュー
の6分野を開発資金の分野として取り扱うことが合意されました。
その後、2008年のドーハを経て、2015年にはエチオピア アディスアババで3回目となる開発資金会議が開催されました。今回はその中でも以下の3点に関して触れていこうと思います。
①「持続可能な開発目標」との連携 (特に目標17での実施手段)
②国際開発資金の交渉参画モダリティー
③国際租税問題の監視を高めるための租税専門委員会の設置
が議論されました。
Q.そんな「開発資金」にはどのような枠組みがあるの?
開発資金内訳の主要2分野をここで紹介したいと思います。
①Official Development Assistance (ODA) ~政府開発援助~
ODAとは政府及び政府の実施期間が開発途上国の「開発」を促すために援助する資金のことです。
ODAは3つのカテゴリーに分別されます。
Grants (無償資金協力+贈与)=途上国の発展を援助するために、無償で支給される資金で途上国は返済義務無し。主に病院の建設、学校の建設、また給水施設の整備に使用
Loans (有償資金協力+政府貸付)=途上国がお金を返済することを前提に貸す資金
Technical Assistance (技術協力+贈与)=途上国の発展を担う人材を育成するために、人材を派遣し技術や知識の授与
②Foreign Direct Investment (FDI) ~直接投資~
FDIとは多国籍企業による長期間の投資のことです。
FDIは2種類に分別されます。こちらの各国別推移はパワポを参照ください。
Outward FDI (対外直接投資)=自国資本が外国に流れる
Inward FDI (対内直接投資)=外国資本が国内に入ってくる
Q. 開発資金の今後
アディスアベバ開発資金会議では「国際開発資金の参画モダリティー」また「国際租税問題」が議論の焦点として挙げられ、特に「参画モダリティー」は今後の開発資金を議論する際に重要な様式になっています。これはMGoSがSDGsの交渉で採用されているのに対し、開発資金ではCSO FfDと民間セクターでのみ分けられています。この辺りの重要性は、前回のウェビナーMGoSに関してを参照ください!
異なる参画様式が考えられる中、4段階ある参画メカニズムの第一段階 ”Inter-agency task force (IATF) report”と最終段階 ”FfD follow-up meeting”が特に重要です。。
“Inter-agency task force report (IATF) report”は国連機関の開発資金オフィス(FfDO)により作成される現状報告レポートで、各国の取り組みや開発資金全般の流れが専門家により集計されています。しかし、このレポートは国連加盟国ではなく国連機関の手でつくられるため、作成段階では各国への拘束力・行使力がありません。
”FfD follow-up meeting”はAAAA実施進捗のフォローアップとして国連経済社会理事会により開催される年次フォローアップ会合で、IATF reportをもとに政府間同士で相互の開発資金への取り組みのレビューが行われます。この際、第一段階で作成されるIATF reportがその後の各国の開発資金に関する取り組みを変えるうえで大きな役割を果たします。
Q.なぜ国連が「開発資金」を先導していく必要があるのか?
国際機関ではIMF、World Bank、OECDが開発資金に積極的に取り組んでいますが、この様な国際機関の「開発資金」への取り組みと国連の「開発資金」に対する姿勢は異なります。IMFとWBは「a quota system」を採用しているため、各国の機関内での決定力は供給金額により決まっています。(例:米国の投票影響力は全体の22%を占めます)
一方で国連は各国平等、衡平な民主的な制度の仕組みになっています。「開発資金」は世界が直面している課題(保健・飢餓・環境・産業・人権等)と強く関連しており、「国連」が開発資金に取り組むことで一国一国の意志が反映されより効果的に国際問題解決を実現することが可能になるのです。