JYPS Webinar
#1 Major groups and other stakeholders
2017年3月26日に小池をスピーカーに、「Major Groups and Other Stakeholders (メジャーグループ及び関連したステークホルダー)」の成り立ちと重要性についてウェビナーを行いました。
ウェビナーで使用した資料はこちらからダウンロードできます。
Q. Major Groups and Other Stakeholders の 「Major Groups」とは?
Major Groupsのコンセプトは1992年にリオで行われた「環境と開発関する国際連合会議(地球サミット第一弾)」で創設されました。誕生理由として主に
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社会に存在する重要な集団(女性、若者、etc)が交渉に参画できるスペースを作り、より包摂的な国連を作っていく
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重要な集団が独自のスペースをもって参画できるようにする。
Q. なぜ「Stakeholders (利害関係者)」や「Civil Society (市民社会)」ではなく「Major Groups and Other stakeholders」なのか?
単にグループを羅列すること自体はそれほど重要ではなく、MGoSが生まれた理由からくる「原則が」MGoSを理解する鍵です。その原則とは、
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それぞれの社会集団(子ども・若者、女性、お年寄り、障がい者、etc)に独立した自治的なスペースを提供すること
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交渉の際に、それぞれのグループにそれぞれ席が確保されている
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話し合いの場で発言の機会が平等に与えられている
では、これらの原則ではなく、ただの市民社会の場合、どうなるか?
権力や資金、アクセス(国連や政府に)があり他グループとの連携を必要としないグループが、スペースと機会を独占してしまう恐れがあります。特に子どもと若者にとってみれば、多くの団体が資金も豊富でなく、莫大な資金を持つNGOと機会を争うのは困難です。そのようなNGOや団体に独占させず、より幅広いグループとステークホルダーに安全で独立したスペースを提供するのが、MGoSの原則です。したがって、単なるステークホルダーや市民社会ではなく、上記の原則を基盤に形成されている”MGoS”であることが大切なのです。
Q. Major Groupsの内訳は?
9つのMajor groupsは、1992年に合意されたアジェンダ21に入っているグループのことを基本的に指します。
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Women (女性)
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Children and Youth (子供と若者
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Indigenous Peoples (先住民)
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Non-Governmental Organizations (NGO)
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Local Authorities (地方自治体)
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Workers and Trade Unions (労働者・労働組合)
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Business and Industry (ビジネス)
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Scientific and Technological Community (科学技術コミュニティ)
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Farmers (農民)
最初に女性、次に子どもと若者が並んでいるのは、その二つのグループが持続可能な社会の実現のためには非常に重要な集団であるということから来ています。またビジネスが含まれているのは、上で言及したスペースの奪い合いを踏まえれば、賢い選択;一つのグループとしてしまうことでほかのグループと協働しなければならないようになっています。
ただこれは、あくまで1992年の話であって、それ以来、様々な国連での交渉プロセスを経て、現在の17つのSDGsを含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で、最も重要なメカニズムであるハイレベル政治フォーラム(HLPF)ではもっと多様なグループが「Other stakeholders」として含まれています。
Q. 「Major Groups and Other Stakeholders」の「Other Stakeholders」とは?
現在では、それは拡大され、Other Stakeholders(その他利害関係者)には
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Older persons (お年寄り)
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Persons with disabilities (障害者)
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Local communities (コミュニティ)
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Volunteer groups (ボランティア)
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Foundations (財団)
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Migrants (移民)
が含まれており、Major Groups以外に所属する人々を取り残さず目標達成プロセスに含めるうえで大切な役割を担っています。
Q. あらためてMajor Groups and other Stakeholders (MGoS)って?
MGoS(市民社会)を見る際に大切なポイントは
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自治のスペースである
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各社会のconstituency (構成員)にスペースを与えている
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意思決定が構成員にゆだねられている
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構成員間での協力が必要不可欠である
ことです。
同時に、ここで覚えておくべきことは、MGoSはテーマの区分ではなく、ステークホルダーのグルーイングであることです。私たちの文脈に置き換えれば、「”children and youth”は若者関連の案件のみ取り扱うのではなく、全分野において参画する」ということです。若者が与えられたスペースを活用し、若者に関する案件に対し意思決定・協力していくのは勿論ですが、実際国際問題として挙げられているどの項目もその後を担っていく「若者」に直接関連しています。将来に影響を及ぼす決定が、その将来を生きていく若者無しで採択されることはあってはならない為です。様々なグループが受けている疎外は、単一の方法で解決できるものではなく、制度的、社会的、経済的、環境的な変革が求められるものです。そのため、若者が今でも気候変動、生物多様性、開発資金、税、格差等々の問題に取り組んでいるわけです。
JYPSが目指しているのは、日本版のMajor Group for Children and Youthとなることです(加盟団体・個人に開かれた選挙、団体ではなくメカニズムとして機能、独自のアカウンタビリティなど)。持続可能な開発の文脈において、日本国内で異なる分野を専門に活動している若者団体が繋がり、分野ごとに特化しつつも、包括的なアドボカシー(政策提言)を若者として展開できるように、プラットフォーム&メカニズムの提供を行っています。